夜叉神峠からの鳳凰山
当ブログではなかなかお目にかかれない夜叉神峠からのルートをご紹介致します。
青木鉱泉や御座石鉱泉に比べて段差の少ないコースですが、距離が長いので余裕をもった計画を立てるようお願いいたします。
標高1400mの登山口から九十九折で約1時間ほど登ると夜叉神峠に到着します。
夏場にはテン場のある夜叉神峠小屋が営業しており、小屋の目の前からは白峰三山の見事な大展望を愉しむことができます。
※チップ制トイレあり、売店あり、水場なし
夜叉神峠からはしばらく忍耐の登りが続き、苺平を過ぎて少し下ると、テン場の併設された南御室小屋(標高2440m)に到着します。
※チップ制トイレあり、売店あり、水場あり
南御室小屋では年間を通して水温の変わらない(2℃)、大変美味しい湧水を汲むことができます。
急登に備えてしっかりと休憩をとりましょう。
南御室小屋から砂払岳まではきつい登りとなります。
他山域に比べて森林限界の高い南アルプスは、稜線直前になるまで展望がありません。
しかし樹林帯を抜けると一気に大展望が広がりこれまでの疲れが吹き飛びます。
砂払岳からは、長く美しい稜線を引いた「北岳」を眺めることができます。
砂払岳からは「薬師岳」、そして鳳凰三山の最高峰「観音岳」を目指した稜線歩きが始まります。
山頂のすぐ下には新築されたばかりの薬師岳小屋が建っています。
※チップ制トイレあり、売店あり、水場なし
今の季節は、白砂青松(はくしゃせいしょう)の稜線にタカネビランジが彩りを添えています。
北岳などでは白いこの花も、鳳凰山ではピンク色が中心となり、それぞれの株で異なるグラデーションを愉しむことができます。
もう少しすると、鳳凰山の固有種「ホウオウシャジン」が、今年も姿を見せてくれることでしょう。
観音岳からは、いよいよ鳳凰山のシンボル「地蔵岳」のオベリスクを目指します。
さて、ここまで来ると手が届くほどに近く見えるオベリスクですが、山頂まではまだ1時間以上かかります。
また、これまでの薬師岳~観音岳に比べて遥かに急な登りとなるため、大きく体力を消耗します。
薬師岳・観音岳までの縦走を終えたなら、ご自身の体力や時間を、この場所で相談するようにしてください。
夜叉神峠からの場合、多くの方がこの砂地から鳳凰小屋へ下りて初日を終え、2日目に「地蔵岳」を目指しています。
※鳳凰小屋へ30分の看板あり
稜線を離れ少し下りると、森の木々に埋もれてしまいそうな青い屋根の鳳凰小屋が見えてきます。
小屋に到着したら、まずは荷物を下ろし、ザバザバと音をたてて流れているパイプからの水を飲んでみてください。
冷たくて大変美味しい、本物の南アルプス天然水です。
受付後はのんびりとお過ごしください。
夕飯はお代わり自由の名物カレーライスです。
目新しいものは何も無い、ゆったりとした時間の流れる昔ながらの山小屋ですが、運が良ければ「24Hかけて抽出した水出し珈琲」や「ひやむぎ」をご賞味いただけるかもしれません。
翌朝、御来光狙いで登られる方へは夕食のあとにお弁当をお渡ししています。
小屋に荷物を残し、アタックザックで稜線をピストンしていただくことも可能です。
夏山は朝が勝負なのです!!
天気予報が芳しくなくても、実際登ってみると素晴らしい景色に出会えることが多々あります。
特に天気の変わり目や雨上がりなどでは素晴らしい雲海が広がりますから、信頼のおける情報ソースから天気を読み、鳳凰三山に遊びにいらっしゃっていただければと思います。
これにて、最後の一座「地蔵岳」登頂、鳳凰三山の完登です。
K
ちなみに、この写真を撮影した日の「てんくら」という名の占いサイトでは、一日中「雨」予報を出していたことをお伝えしておきますw