3月の仙ノ倉山北尾根に行ってきました(後編)
※新型コロナの影響でお休みの間に、過去の山行記録を上げています。
3月中旬に行った仙ノ倉山北尾根の2日目。テントを撤収して下山する最終回です。
◆仙ノ倉山山頂にて
仙ノ倉山山頂には3人ほど先客がいました。2人はスノーシューを履いた若者たち、もう1人はバックカントリーを楽しみに来たスキーヤーのおじさんです。
彼らは仙ノ倉山の隣にある「平標山(たいらっぴょうやま)」から縦走して来ていました。松手山コースは、谷川連峰の稜線に出るのにやさしいルートで、平標山もとても展望のよい山だと聞いています。
ぼくらもそちらへ抜けたいところですが、今回はテントを残して来ているので同じ道を戻らなければなりません。
◆下山開始 ~団子雪に苦しむ~
ぼくらが下山を始めると、スキーヤーのおじさんがシュプールを描きながらあっという間に滑り降りて行きました。スキーは速くてうらやましいですね。
ぼくらは一歩一歩確実に下りていきます。
登りがあれだけ急でしたから、下りも気を抜けません。(↑の黒い人影は田口さん)
しかもお昼になって気温が上がり、雪が団子になってアイゼン(足の爪)にくっつくようになってきました。
足裏が雪で団子になると、アイゼンの爪が雪に隠れて雪面に刺さらなくなります。この状態で凍った箇所を踏めば、当然滑ってしまいます。
数歩ごとにピッケルで足を叩いて雪を落とし、アイゼンの爪が刺さる状態をキープしながら進みます。柔らかい雪と凍った硬い雪面が交互に出てきて、なかなか厄介でした。
◆核心部の楽しい下り
そして、いよいよ核心部の雪壁。
山側に身体を向け、アイゼンの前爪とピッケルのブレードに命を預けて下ります。
こういう時は腰の横あたりの低い位置にピッケルを刺すと速く下れます。久々にピリッと緊張感のある楽しい下りでした。
※アイゼンの前爪を使った下りやトラバースの技術は、急傾斜のある冬山では必須の技術です。きちんとしたガイドさんや山岳会の方から教わり習得されることをおすすめします。
※この部分、慣れた二人だったので、ロープを出しませんでしたが、基本的には出した方がいいと思います。潅木で支点が取れます。
◆風に吹かれて…
核心を無事に越えました。あとは景色を楽しみながら下るだけ…。
と思ったのですが…
なんかおかしくない???
そう思っていたところ、相棒の田口さんからも声を掛けられました。
緑矢印がぼくたちがテントを張った場所です。ぼくらはテントを2つ張ったんですが、1つしか見えないような気がします…。
しかも見えてるのは田口さんの緑のテント。ぼくの黄色いテントは見当たりません…。
風で飛ばされてしまった?
それとも最近流行りのテント泥棒?
…ふぅ、いかん。こういう時こそ平常心。
平常心で急いで下ります(苦笑)
田口さんのテントは風でひしゃげていました。
ぼくのテントは谷の方へ風で吹っ飛ばされていました。テントの角をしっかりと止めていなかったのが原因でした。風が弱い予報だったので油断しました。何はともあれ、回収できてよかった!
そんなこんなで、荷物をまとめて下山再開。お騒がせしました。
群大ヒュッテを通過。
振り返ると、最後に仙ノ倉山北尾根が姿を見せてくれました。
駐車場に着いたのはちょうど18時。13時間近い長い一日になりましたが、大満足。仙ノ倉山北尾根はうわさに違わぬすばらしい雪稜の山でした。恵まれた日に登れたことに感謝です。
アオト