アコンカグア10・11日目~決戦前夜~

BCで食べた即席チーズバーガー。左がケンくん、右がとっきー。
《2月11日 BCにて休養》
10日目。久々にBCで朝を迎えた。ずいぶん眠ったのに、まぶたが重たい。高所で知らぬ間に疲れがたまっていたようだ。
今日は最初で最後の完全休養日にして、1日のんびりすることにした。
とっきーくんが確認して来てくれたインカ社の最新天気予報によると、やはり2日後の2月13日がアタックチャンス。終日、快晴微風の予報となっていた。
明後日の昼過ぎにはアコンカグアの頂きに立つのだ。6,000mから上の世界の景色はどんなものだろう。山頂に立って自分は何を思うだろう。想像するだけで、心がワクワクしてくる。
荷作りや家族への連絡を済ませ(※BCではインターネットが使える)、夕食の準備に取り掛かった。
この日の夕食は、今生の別れと言わんばかりの食欲。スパゲッティとN子さんからもらったピクルスを平らげただけでは飽き足らず、心優しきとっきーくんから塩ラーメンを拝借しておいしく頂く。
そのおいしさに歓声を上げていると、今度は昨日出会ったケンくんがテントを訪ねて来た。彼は東京の大学4年生で、なんとムーラを使わず、全ての荷物(40kg以上)を自分で担いでBCまで来たというタフガイである。
見れば、手にパンとチーズを持っていて、「知らないおじさんからもらったので、一緒に食べましょう」と言う。すでに満腹のはずだが、ありがたく頂くことにした(笑)
とっきーくん秘蔵のサラミを炒めて挟み、即席チーズバーガーを作る。久々に肉の焼ける香ばしい匂いが立ち込める。
「…もぐもぐ」「…むしゃむしゃ」「…ごくり」
チーズとサラミの暴力的なおいしさの前にみなしばし無言。人は本当においしいと感じた時、言葉を発さないようだ。
※高所では胃腸に回せる酸素が減るため、一般的に食欲が落ちる。食べ過ぎも体調を崩す原因になるので禁物。自分があれだけ食べることができたのは、高度順応がうまく行ったおかげだろう。
《2月12日 BC→C2ニド》
11日目。とっきーくんとC2のニドへ。できるだけ疲れないよう、ゆっくりと歩き、5時間ほどで到着した。
食事を済ませ、明日分の飲料水を用意し、ハードシェルなども先に着込んでおいた。
明日は帰りも含めると、15時間に及ぶ長丁場になる。
未知の標高での長時間の行動になるが、昨日おいしい食事をたらふく食べたからきっと大丈夫だろう。
ここまでの美しい景色に感謝。すばらしい仲間との出逢いに感謝。何より山頂アタックのチャンスがもらえて本当によかった。明日は感謝して登ろう。
そう日記を記して目を閉じた。
アオト