アコンカグア、コラム3~アコンカグアは簡単な山?難しい山?~

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C3コレラにて吹き荒れる「ビエント・ブランコ(白い嵐)」(写真は友人T氏提供)

アコンカグアは「素人が登れる世界最高峰」と呼ばれる(こともある)一方で、実際の登頂率は20~30%という難しさを持った山です。

今日はこの点について考えてみたいと思います。

【アコンカグアは簡単?】

七大陸最高峰のひとつであるアコンカグアには、世界各国から多くの登山者が訪れます。

6,962mという高い標高にもかかわらず多くの登山者でにぎわうのには次の3つの理由があるようです。

①登山の環境がとても整っている

世界一設備の整ったベースキャンプ&レンジャーの存在など

②一般登山道に難所がほとんど無い

クライミングの技術は要求されない。ただし悪天候時は道迷いしやすい箇所あり

③自分で荷物を運べば費用が抑えられる

ガイドやポーター(荷物運びの人)を頼まない人も多い

単純に「簡単」というよりは、環境が整っていて「挑戦しやすい山」と言った方がしっくり来るように感じます。だからこそ多くの人が訪れるのでしょう。

【アコンカグアは難しい?】

次に、多くの登山者が訪れるアコンカグアで登頂率2~3割にとどまるのはなぜか。

ぼくは「高度順応」「天候」「アタックと撤退の判断」の3つがとても難しいからだと感じました。

①高度順応

まず標高6,962mという未体験の高さに身体を慣らしていくことが最大の課題です。

日本では4,000m以上の高さは経験できませんから、どの高さでどんな高山病の症状が出てくるか、探りながらゆっくりと高度を上げて行く必要があります。

一番危ないのは、「調子がいいから」と一気に標高を上げることや、がんばって登ること。後で手痛いしっぺ返しをくらうので注意が必要です。

②天候(特に風)

アコンカグアは、天候によって登山の難易度が大きく左右される山です。

あのイッテQ登山部も雪崩の危険のため、山頂直下で登頂を断念しましたし(それでもあそこまで登っているのがすごい)、4年前の1月は悪天のため、ひと月のうち、わずか3日しか登頂者が出なかったと聞きます(友人談)。

「エベレストに登れた人でもアコンカグアには登れないことがある」と言われる由縁です。

なかでも一番注意が必要なのは、風。

山頂付近に吹き荒れる強風は「ビエント・ブランコ(白い嵐)」と呼ばれ、地元のガイド達からも恐れられています。雪煙を巻き上げる風速30m以上の嵐の中で登頂できる確率は万に一つもありません(※確実に吹っ飛ばされます)。

ビエント・ブランコまで行かずとも、風の影響には注意が必要です。風と寒さに体力を奪われると撤退に追い込まれたり、体力を奪われて高山病や低体温症を発症して動けなくなる人もいます。風による寒さで手先・足先などの末端に凍傷を負うこともあります。

アタック日は10時間以上の行動時間になるので、できるだけ天候(特に風)の安定した日を選んで登ることが大切です。

③アタックと撤退の判断

そういうわけで、アコンカグアに無事登頂するためには【高度順応が進んだ状態】で【天気の良い日(特に風が弱い日)にアタック】したいところ。

しかし、そのタイミングがうまく巡ってくるとは限りません。高度順応がまだなのに天候の良い日が来てしまったり、下山日が迫っているのに天候が良くなかったり、天気予報が良くて出発したのに予報が外れてしまうこともあります。

そういう時には強行するか、撤退するかの判断を迫られます。

強行すれば高山病や凍傷のリスクが高まりますし、すぐそこに山頂が見えているのに撤退を決めるというのもなかなか難しいもの(実際は近そうに見えて、果てしなく遠いのですが…)。

登山に無理は禁物ですが、無理をしないと登れないこともある。そんな難しさもこの山の一面です。

【最後に】

もちろん天候に恵まれれば、穏やかな日差しの下、心地よい風に吹かれながらのんびりと山頂の景色を楽しむことができますし、約2週間の時間をかけてたどり着いた山頂では、多くの人が特別な思いを抱くと思います。これもまたアコンカグアの一面です。

ぼくにとって、アコンカグアはそういうやさしさと厳しさの微妙なバランスの中にある山です。

だから「素人が登れる世界最高峰」という言葉で簡単に切り取ってほしくない。その言葉の中ではあまりに多くの大切なものが失われているから。そんなことを思います。

アオト

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