目指せ裏山、怪しい探検隊。
皆さんこんにちは、富田です。
突然ですが、子どもの頃家の裏山を歩いたことはありますか?
僕は無いです。家の裏は蕎麦屋さんでした。バリバリ住宅街です。
しかし、ここ鳳凰小屋には裏山があります。正確には地蔵岳から伸びる尾根があります。
この裏山は小屋から見ると、ゴツゴツした岩山で、いかにも険しそうなのですが、実はここを登ってオベリスクまで行ける、という話を耳にはしていました。
裏山にはトレイルがあるわけでも無く、なかなか試す勇気を出せずにいたのですが、スタッフのミユキさんが裏山へ通ったり、OBの方からオフトレイルの話を聞いたり、トレイルを外れて少し歩かせてもらったりタリバンダリ……しているうちに興味が膨らんで、昨日ついに不安な気持ちを上回ったので、裏山へ行ってきました。
行く前にオーナーから登り方をレクチャーしてもらい、いざ出発。
教えてもらった通りに登っていったはずなのですが、、、。稜線に出る手前で岩場に阻まれて登り切ることが出来ずにしばらく試行錯誤して、やっとこさのザレ場に登り切った時には、かなり時間が経っていました。

なかなかの眺め。綺麗に街が一望出来ます。

ザレ場には何やら誰かの足跡が続いています。どうやらシカの足跡のようです。足跡を下に辿って見てみると、さっきまで僕のいた岩場へと続いていました。
……こっちから来れば良かったのね。シカは道をよく知っているようです。
ここからオベリスクを目指すわけですが、目的地は遥か遠くに見えます。

ちゃんと辿り着けるかな…
とりあえず進んでみよう。
岩場を避けて少し北側へ回ると、景色が一変して苔の美しい森がそこにはありました。

苔、うつくしい……。

進む先を見ると、ここにもシカ道が伸びていました。

トレイルのないここではこうした獣道が頼りになります。シカなどの森の住人達が一番、山を知っているのです。
足跡を辿りつつ尾根を進みますが、歩きやすい道は少なく、枝やかん木をかき分ける場面もしばしば。時には斜面が切れて崖になったり、岩に進路を阻まれたりして、思ったようにいきません。
危険な場所は避けて進みますが、それでも心臓はバクバクで常に興奮状態。
もし、あの崖から落ちたらどうなるだろう。もし、道を誤ってしまったらどうなるだろう。もし、前進も後退も出来なくなったら、もし、日が暮れてしまったら、、、

そんな時に、逞しく生きる大木を目にします。
こんな高所で永い時間を過ごしてきたその姿には神秘性が宿っていました。

風雨に吹かれ、雪にも耐えて稜線に根を張るカラマツは曲りくねり枝を低く伸ばし、まるで盆栽のような姿に。
ここで一体どれだけの時を過ごしているんだろうか。
彼らの姿は数値的な枠を超えて大きく重く印象を残します。
感覚的にはかなり進んだ筈なのに目の前にはピークが立ちはだかりオベリスクはその向こう。

小屋に着くのは遅くなりそう……
でも、ここまで来て引き返すわけにも行きません。
頑張って越えて行こう。
歩みを進めるとだんだんかん木の壁が厚くなり、ハイマツと戯れながら進まざるを得なくなりました。
どうやったらコレを漕いで行けるんだ?
そんな時にも頼りになるシカの道。これなしには進めません。シカってすごい!生まれて初めてシカに尊敬の念を抱きました。
シカ先生です。宜しくお願いします。
ヤブをかき分けやっとこさピークを越えると目の前に堂々たるオベリスクが。

大きくて重みがにじみ出すような逆光の巨石を目にして、思わず手が胸の前で合わさります。
……神さまがいるんだ。
昔の人がバカでかい大仏を作った理由がわかりました。
きっと、この感覚を表そうとしたんだろう。
でかい岩やでかい木にはしばしば注連縄がまかれ、町や集落から見える山には信仰が集まる。
大きな不変の存在に人を超えた何かを感じることはごく自然なことで、それがきっと神や仏なんだろうな。
虹も出ていて、オベリスクの神性に拍車をかけていました。

小屋から出て初めて目にする人工物。

人気のないオベリスクの裏にあったのは、亡くなった方の慰霊碑でした。

碑の前で手を合わせて、ここまで無事に着いたことを感謝します。
こんなに自然な気持ちで手を合わせるのはなかなかありません。ここで人が亡くなった事も他人事には感じられませんでした。
オベリスクの下に石碑を見つけました。

ここにもある。

よく見ると、天照大神 と彫られていました。
オベリスクは古くは大日如来と呼ばれていたこともあり、やはり太陽の神さまとしての信仰を集めていたようです。
オベリスクを下り賽の河原に足が着くと、ようやっと生きた心地がしました。リアル賽の河原です。
さて、遅くなってしまったし、小屋に一報入れようとしたら、なんと圏外に。
おいっ、ソフトバンク!しっかり頼むぜ!
仕方がないのでそのまま小屋へ帰り、着いた時にはもう17時になっていました。
お客さんは少なかったものの、夕食の準備にも間に合わず、みんなにも心配をかけてしまい、大変申し訳なかったです。
しかも、先程の電話が「トミタです」の一言で切れてしまったせいもあり、トミタ遭難説まで浮上していたようです。
そうならずに済んで本当に良かった、、、。
迷惑をかけてしまった今回の探検ですが、本当にいい経験をしました。
実際に歩いている時には、なんでこんなことしてるんだろうかと思っていましたが、帰ってくるとまた行きたく思うのは何故なんでしょうか。不思議でなりません。
人間ってバカなんだな。(僕だけか
さて、これにて今回の探検隊は解散です。次回は紅葉の時に行きたいですね。
長くなりましたが、お付き合い頂きありがとうございました。
またお会いしましょう。

トミタ